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食べるしあわせ
世界まるごとギョーザの旅 「旅の食堂ととら亭」店主
久保えーじ
第1回 ギョーザを巡る旅のはじまり ~トルコのマントゥ~②

※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『世界まるごとギョーザの旅』が絶賛発売中です(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。



サバを焼く屋台
 ファーストフードの食べ歩きも忘れてはいけません。イスタンブールなら釣り人で賑わう海沿いに行くと、何やらノスタルジックな香りがしてきます。その匂いを追いかけた僕たちが見つけたのは数軒の屋台。覗いて見ればグリルの上でサバの半身がじゅうじゅう音を立てているではないですか。注文して出て来たのは、サバと共にオニオンスライスを香ばしいパンに挟み込んだバリック・エキメッキというサンドウィッチ。日本人旅行者の間ではサバサンドなどと、ベタな名前で呼ばれており、出来立てに好みの量の塩とレモンジュースを振りかけて頂きます。個人的には醤油が欲しくなりましたけれど、これはこれで美味しかったですね。

サバを挟み込んだバリック・エキメッキ
 よく知った料理でも意外な発見がありました。最近では日本の夜店で定番となりつつあるドネルケバブ。イスタンブールの中心部を歩いていると、至る所にケバブ屋があり、あの独特な香りが漂っています。

「旨そうだな。せっかく本場に来たのだから、一つ食べて行こうか」

 注文した僕らが席に座って待つこと数分。目の前に置かれたのはピタパンに薄切りのドネルケバブが挟まれたサンドウィッチではなく、ピラウの上にそれと野菜が乗った、謂わばケバブ丼。

パッと見は「焼肉定食」ですが、ドネルケバブです
「え? 何これ?」
「あの~、この料理は頼んでませんよ」
「あんたはドネルケバブと言っただろう?」
「ええ」
「これはドネルケバブだよ!」

 僕らは顔を見合わせてしまいましたが、そう言われてしまえば仕方ありません。そこで一口頬張ってみると、これが旨い!

 さて、一番気になっていた料理がまだ残っています。トルコのギョーザ、マントゥ。初めて出会ったのはカッパドキアのレストランでした。なるほど、テーブルに運ばれてきたのは下調べした通りの風変わりな一品。ラム肉を包んだ茹で立ての水ギョーザにガーリック風味のヨーグルトとオレンジ色のパプリカバターがかかり、鮮やかな緑のフレッシュミントが散りばめられています。

トルコのギョーザ・マントゥ
「ん~・・・未体験的な香りだな。ギョーザそのものは日本で食べる水ギョーザと似ていても、こりゃ別物だよ」
「わぁ、クリーミィーなソースで美味しいねぇ!
 それぞれの素材はよく知ってるけど、この組み合わせは思いつかなかったわ!」

 その魅力に引き込まれてしまった僕たちは、トルコに滞在中、メニューでマントゥを見かける度に注文していましたが、何処で食べても見かけと味の差が少ない料理でした。とはいえ陶芸で知られる街、アヴァノスで食べたマントゥの味は忘れられません。その美味さには別の理由があったのです。(つづく)
 

【「旅の食堂ととら亭」のホームページアドレス】
http://www.totora.jp/
※写真はすべて筆者提供
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【くぼ・えーじ】
1963年神奈川県横浜市生まれ。ITベンチャー、商業施設の運営会社を経て独立。「旅の食堂ととら亭」代表取締まられ役兼ホール兼皿洗い。20歳のころからオートバイで国内を旅し、30歳からはバックパッカーに転身。いつかはリッチな旅がしたいと常に夢見ているが、いまだ実現していない。特技は強面の入国審査官などの制服組から笑いを取ること。妻・智子(ともこ)は1970年群馬県高崎市生まれ。食品成分分析会社、求人誌営業を経て料理業界へ転身。フランス料理、ドイツ料理のレストランで修業し、旅の料理人となる。見かけは地味だが、スリルとサスペンスに満ちたジリ貧の旅を好む。特技は世界中どこでも押し通す日本語を使った値切り。
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