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きれいをつくる
キレイを引き寄せる脳との付き合い方 脳科学者
中野信子
第1回 女性から見た魅力的な女性とは
 目鼻立ちが整っている、顔立ちに華がある、肌に透明感とハリがあって年齢を感じさせない……「そんな女性は理想だけど、私には関係ないわ」なんて、あきらめていませんか?
 しかし脳科学者の中野信子さんは、「顔立ちが申し分なく整っているからといってキレイに見えない人もいます。現実には、内面から輝いている人、魅力的に見られたいと願う人がキレイに見えるのです。それも、脳の仕組みに基づいてうまくコントロールすることで、誰もがキレイを手に入れることができます」と断言します。今回から5回にわたって「脳とキレイとの関係」をご紹介。脳や心理学をテーマに研究や執筆活動を精力的に行う中野さんに、「キレイを引き寄せ、艶やかな日々を手に入れるための脳との付き合い方」をレクチャーしていただきます。


マツコ・デラックスは、なぜ輝いて見えるのか?

 同性から見て決して美人とはいえないけれど、なぜか光を発していてキレイに見える人、皆さんの周りにもいませんか? そういう意味で、テレビに出ている方は、大抵キレイな方ばかりなのですが、中でも、私は、マツコ・デラックスさんやIKKOさんにドキッとするような美しさを感じています。お二人ともちょっと性別が違いますし(笑)、美人の代表とはいえないけれど、とても輝いていらっしゃる。この人の近くにいたい、もっと見ていたい、という気にさせられます。

 それは、彼女たちの言葉の選び方や見えない心の使い方……。毒舌も吐くけれど、その裏に優しさがにじみ出ていて、そこに好ましさを感じることで、なぜか外見もキラキラして見えるのですね。そういう方を見ると、神々しさすら感じます。

 では、彼女たちはほかの女性とどこが違うのでしょうか。脳はコミュニケーションに深くかかわっていて、特に言語コミュニケーションを司る側頭葉の「上側頭回(じょうそくとうかい)」と呼ばれるところがあります。彼女たちは、ここが非常に発達しているのです。

空気を読める女性は美しい
 もう少し詳しくお話しましょう。
「上側頭回」は、言語にかかわる脳の領域(言語野)の中でも、いわゆる「空気を読む」場所。たとえば、「あの人は、こういう言い方を好む傾向がある」「この人は、こういうパターンでモノを言うクセがある」というところを学習して、言っていいこと、悪いことをジャッジしながら、その場の雰囲気に合うように言葉を選ぶのが「上側頭回」の役割です。この脳の機能は女性のほうが優位にあり、多くの女性が適切な言葉を適切な状況で発することができるといえます。だからこそ、その能力が突出して高い人を見ると、より女性らしさを感じるというわけです。

 女性が「空気を読む」能力がどうして高いかというと、これは、子どもを育てるのに必要な情報収集能力なのですね。「あそこへ行くとエサがたくさんある」とか、「子どもをあそこへ行かせると危険だ」とか、そういった情報を得るために発達したといわれています。マツコさんやIKKOさんは身体的には男性ですが、女性から見て好ましく思うのは、「空気を読む」能力が普通の女性以上に発達しているからではないでしょうか。ただ「空気を読む」だけではそれに流されてしまいがちになりますが、お二人の素敵なところは、「空気を読み」ながら、それを「自分の思い通りにあやつる」力を持っていらっしゃる点です。これは上側頭回の機能が非常に高いことの表れでしょう。

映画を観て、未知の状況を学習しよう

 この能力を伸ばす方法は、実は意外と簡単です。自分と違うタイプの人とたくさん会ったり、本を読んだり、映画やドラマを観たりすることで、誰でも伸ばすことができます。IQ(知能指数)でいうと、「結晶知能」と呼ばれる部分で、自分が出会ったことのない未知の状況についての知識や経験を積み重ねることがパターン・ラーニングになるのです。「あの人は、こういう状況のとき、こうやって言葉を返していたな」というデータをストックしていくと、今までできなかった対応ができるようになる。つまり、空気を読めるようになっていきます。さらに、この知能のいいところは何歳になっても衰えることがない――、死ぬまで伸ばせること。「私はどうせ美人じゃないから」と開き直っているヒマがあったら、1本でも多く映画を観たほうがキレイになれる、ということですね(笑)。

 余談ですが、私は、松居和代さんもすごくキレイだと思っています。松居さんはお顔立ちも美しい方ですが、人より前に出るエネルギーも人一倍強い。しかし、人間の脳、特に女性の脳は、目立ちすぎず、バランスがいいものを好む傾向があり、一般的には前に出るタイプの女性は周囲に嫌な印象を与えるものです。

 では、松居さんがキレイに見えるのはなぜでしょうか? その答えは、自分が前に出ると同時に、人も前に出す力を持っているから。人間も動物ですから、生存競争意識が働き、目立つ存在がいれば自分の居場所がなくなる。だから無意識に嫌な感情を持つわけですが、自分も一緒に前に出してくれるのであれば、話は別です。普通ならブレーキをかけてしまいがちな“人の前に出る”という行動を起こす一方、笑顔を絶やさず、人をけなさず、周りを引っぱり上げることもキレイの要素の一つだと私は思います。そんな女性特有の脳の働きやコントロール方法、また男性と女性の脳の違いについて、次回はお話を進めていきたいと思います。

(構成・宮嶋尚美)

キレイへの1st step
「上側頭回(じょうそくとうかい)を成長させる」
~自分の知らない世界に触れてみる~



【中野信子さんのブログ↓】
http://ameblo.jp/nobukonakano/
【facebook↓】
https://www.facebook.com/dr.nobuko.nakano

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【なかの・のぶこ】
1975年東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳科学者、医学博士。フランス原子力庁で研究員として勤務後、脳科学についての研究と執筆活動を行う。書著に『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』、『東大卒の女性脳科学者が、金持ち脳のなり方、全部教えます。』、『世界で通用する人がいつもやっていること』ほか。「音楽と脳」「恋愛と脳」「香りと脳」など、脳科学の基礎をふまえつつ、従来にないような分析も得意とする。世界の上位2%のIQ所有者のみが入会を許される団体MENSAに所属。
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