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きれいをつくる
先生たちのちょいカツ!
第11回 安河内哲也先生(一般財団法人実用英語推進機構 代表理事)
 生徒に“カツ”を入れる先生にも、自分にカツを入れた場面がきっとあったはず。その道で活躍する先生が自身の人生エピソードを語る連載企画「先生たちのちょいカツ!」。第11回は、あの人気“カリスマ英語講師”安河内哲也先生の登場です。日本の英語教育にも迫ります!

GRIT! 決して諦めない



 私の考え方の一つに、チャンスを与えられたら絶対に断らないというのがあります。自分には分不相応だと思っても、あえて引き受けて諦めないでやってみる。そういう外部的な状況を“カツ”にして上を目指すと、壁を突破できると思うのです。

 今、英語を教えることがめちゃくちゃ楽しくて、授業は私にとってまるでディズニーランド(!)のような感覚。教室に入る前はアトラクションに乗る前のワクワク感に満ちています。そう思えるようになったのも約2年前のこと。これまで20年も英語教育にかかわっていながら、やりたかった音声中心の授業ができないまま気がつけば受験対策に特化した英語講師になっていました。企業や学校からのオファーが増えきて仕事の領域が広がっても、メーンが受験英語だということにフラストレーションを持っていたのです。

 そんなとき、大きな転機が訪れました。大学入試や英語力評価の改革を協議する国の審議会が本格的に始動し、当時の下村博文文部科学大臣から審議会委員に指名していただいたのです。大学入試に「聞く・話す・読む・書く」の実用的な4技能試験を導入するという国の大改革。話をいただいたときは、予備校や塾の狭い世界でやってきた私に正直務まるのか不安でしたが、分不相応でも自分に降ってきた仕事は断らないのが私の流儀です。理想の英語教育のために、重責を担ってでも引き受ける決意をしました。

大学生向け東進ビジネス英語講座での公開授業
写真提供:安河内哲也さん
 これが、まさに人生のターニングポイント。指名されたその日から仕事がガラリと一変しました。国が目指す英語教育はアクティブラーニングという活動型授業で、従来の知識伝達型授業とは逆行するもの。つまり、私が20年間行ってきた教授法を否定し、国の方針に従って活動型授業に総取っ替えしなければなりません。しかも国の教育改革に携わるわけですから、公教育についても一から猛勉強です。とにかく資料や文献を必死に読みあさりました。今は笑って話せますが、最初は会議で意見を求められてもうまく伝えられず、政策立案の仕組みだってチンプンカンプン。かなりひどかったと思いますよ(笑)。でも、やっていくうちにだんだん型にはまってきて、さまになってくる。ひるまずやってみることの重要性を痛感しました。そして、引き受けたからには“決して諦めない”の精神。GRIT(根性)があれば、必ず乗り越えられると信じています。

 これまでに100冊に及ぶ執筆活動や企業の英語研修プログラム、企業研修、大学の講義とさまざまな仕事に打ち込んできました。今年は、自ら開発に加わったスピーキング評価システム「E-CAT」を世界最大の教育コンベンションでプレゼンするという大役にも挑戦します。誰にでも何年かに一度は自分を成長させてくれるタイミングが必ずやってくるはず。それを見逃さずに、「まずはやってみて、失敗して、修正して、またやってみる」。このシンプルなサイクルが公式のようになっていて、私を鍛えてくれるのです。


カツナンバー
ソ・ヨンウン『ホンジャガ アニン ナ』
韓国語を勉強していることもあってK-POPで気合いを入れる。中でも、女性ボーカルが歌う『ホンジャガ アニン ナ』は「ひとりじゃない」というポジティブな歌詞がお気に入り。「元気を出したいときにはカラオケに行って歌いまくります!」

カツめし
カレーやスンドゥブチゲ
インド料理ならカレー、韓国料理ならスンドゥブチゲといった辛い物を食べて“カツ”を入れる。「カーッと汗をかくと、がぜんやる気がでます」

カツアイテム
笛とリモコン

私語OKの活動型授業には笛とリモコンが必須。ディスカッションをしたりゲームをしたりと生徒の発話を誘導するように進めていくため、途中、「ピピッピーッ!」と笛を吹いてメリハリをつける。大型スクリーンに映し出されるイラストや効果音はリモコンで操作。「とにかく笛を身につけてリモコンを持ったら戦闘態勢です!」と、授業を盛り上げる演出もばっちり。

カツ語
「Your future is whatever you make it. So make it a good one.」
未来は自分で作るもの。だったらいい未来を作ればいいじゃないか
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』のラストシーンでの名セリフ。「『オレってダメだよな…』。なんて愚痴っているばかりじゃ何も始まらない。未来は自分で切り開くものです」


【安河内哲也のオフィシャルブログ「やればできる!」】
http://ameblo.jp/yasukochi-tetsuya/


取材を終えて
「英語教育に一石を投じたい!」と熱く語ってくれた安河内先生は、一緒にいるだけで周りの空気をポジティブにしてくれる不思議なパワーの持ち主。明るい人柄と切れ味のあるトークに思わず引き込まれてしまいました。「とにかくやってみる!」「間違いから学べばいい」……。前向きな言葉にどれだけの人が励まされ、やる気を出せたことでしょう。そんな安河内先生、もともとはネガティブシンキングだったとか。でも、ネガティブ対処法があるそうです。それは、ギリシャ語の“エポケー(epokhe)=思考を停止せよ”。「考えても仕方がないことは考えない!」。私も、ネガティブ思考を封じ込める呪文「エポケー」を使わせていただきます(笑)。

(構成:狭間由恵)
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【やすこうち・てつや】
1967年福岡県生まれ。東進ハイスクール・東進ビジネススクールのネットワーク、各種教育関連機関での講演活動を通じて実用英語教育の普及活動を行う。文部科学省の審議会において委員を務め、大学入試への4技能試験導入に向けた活動にも積極的。TOEICスコアは1390点満点。2014年には、国際コミュニケーションの頂上決戦 ICEE で優勝も勝ち取る。『勉強の手帳』『できる人の教え方』など、執筆した書籍や参考書は100冊以上。発行部数は350万部を超え、韓国・中国・台湾・タイでも、多数翻訳され出版されている。一般財団法人実用英語推進機構代表理事、東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師、国際英語会話能力検定 E-CAT開発アドバイザー、福岡県遠賀郡岡垣町ふるさと大使などを兼務。
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