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食べるしあわせ
蔵元に生まれ、蔵人になる
蔵人の会
最終回 <番外編>蔵元「あるある」
 蔵元後継者の学生たちによる座談会。最終回は番外編として、「蔵元あるある」をお届けします。フツーの人には伝わりづらい、だけど、蔵元で生まれ育った者だからこそ共感し合える「あるあるネタ」の数々……。参加者は「それ、わかるー!」を連発し、座談会は大いに盛り上がりました。

――普通にはあり得ない、皆さんだけが共感できるエピソードは?

鈴木 これは味噌屋の僕と大竹さんしか当てはまらないことだけど、学校の授業中に先生が「ここが重要。ここがミソです」と言うと、誰かが僕を見て「そうだよな?」とか言って大爆笑になる(笑)。僕の弟も何度も同じことを経験していると言っていました。

大竹 絶対言われるよね。

内田 小学校、中学校と大学もそうでしたが、研修旅行先がうちだった。何だよ、うちかよって(笑)。それと、皆で集まるときに実家の商品を持ち寄るのですが、等価交換をよくしますね。たとえば僕が大竹君にお酒をあげると、代わりに味噌をくれる。だいたいの調味料とか酒はそろっています! 

大竹 料理するときは普通は安い料理酒を使うけれど、うちには皆がお酒を置いていってくれるので、純米大吟醸で料理したこともある(笑)

三浦 それは贅沢な! あとは、贈られるお中元やお歳暮が自分の家の商品とかないですか?

石井 あるある! もらったらうちのお酒で、「なんで?」みたいな(笑)。

――「納豆は食べられないんだよね」との声が上がった。ええ!? どうして?

大竹 蔵では麹を作っていますが、麹に納豆菌が少しでも飛んでしまうと全部が納豆になっちゃうんです。それが米であっても納豆になって糸をひいちゃう。そうなると蔵全体を掃除して、アルコール処理などで除菌をしないとならないんです。

石井 一般の方も知っている常識かと思っていましたが、「納豆は食べちゃいけない」と友人に話したら驚かれました。納豆菌が入ると、タンク1つどころか麹が全滅するかもしれないのです。

内田 納豆菌は熱にも耐えるし、とても強い。ミカンとヨーグルトも避けますね。ミカンは青カビ、ヨーグルトは乳酸菌が蔵の大敵なんです。

鈴木 敷地が広いので、子どものころは格好の遊び場。家で遠投のキャッチボールができますから。それで野球が上手になりました(笑)。

大竹 蔵の中でドッヂボールやったなあ。

石井 私は車の運転の練習を家の敷地の中でやりましたよ。

内田 フォークリフトはみんな乗れるんじゃないの?

全員 乗れるー!

――考えてみれば、その町の「造り酒屋」とか「醤油蔵」といえば、広くて大きくて奥が深くて、一般人にはちょっと想像がつかない存在。ここで若者ならではの切ない話も。

石井 「蔵元あるある」の定番、結婚相手のことは? 

大竹 蔵元の長男と長女など、後継者同士の結婚はまず絶対ないですね。お家騒動になると困るので。だから、石井さんが横にいてもそういう目で見られません。

内田 失礼な(笑)。

石井
 女性ではなく、ただの「人間」なんです。

鈴木
 男、女、蔵元という性別がある感じだよね(笑)。

 蔵の中でドッジボールができるし、敷地で車の運転練習もしちゃうし、社会見学の行き先が「うちだった」……やっぱり蔵元はワンダーワールド。でも、その未来を切り開いていく「蔵人」は、笑ったり迷ったり悩んだりする等身大の若者たちでした。彼らが持ち前の前向きさと真面目さでつくる「蔵出し」を味わう日が、早くも楽しみです。

(構成:小野哲史)

【蔵人の会ホームページアドレス】
http://kurabito.info/
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【くらびとのかい】
日本の醸造業を支える蔵元の大学生後継者を中心に構成された会。2014年の結成以来、蔵元めぐりや実家の商品の品評会を兼ねた酒宴「樽俎(そんそ)の会」を開催している。現在は蔵元の後継者以外にも、首都圏の大学から酒造りや発酵食品に関心を持つ20人ほどの学生が参加。岐阜県で6代続く味噌・醤油蔵の後継者、大竹令馬(東京農業大学4年)が代表を、山形県で創業150年の味噌蔵の後継者、鈴木昴徳(同3年)と長崎県壱岐市にある焼酎の蔵元の後継者、横山龍太郎(同)が共同副代表を務めている。
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