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美しいくらし
好奇心は人生を豊かにするスパイス 「裸足でスパイス」店主
井上由香
第2回 出合いはタンザニア
 都内近郊で開催される青空市に出店している「裸足でスパイス」には、店主の井上由香さんおすすめの世界各国のスパイスやハーブが並んでいます。たった一人の小さなお店を始めたのは、アフリカ旅行で食べたカルダモンライスとの衝撃的な出合いがきっかけでした。

井上さんおすすめのスパイスは、すべて1袋300円から500円のお手ごろ価格


――2013年11月から8カ月間、ケニア、タンザニア、ウガンダを旅したそうですが、アフリカへ行こうと思ったのはなぜですか?

 13年の春ごろ、アフリカンダンスの舞台を見て“ジャンベ”という太鼓に興味を持ったのがきっかけです。それまでジャンベを叩いたこともない全くの初心者でしたが、中野区にあるジャンベのグループに仲間入り。そこで練習をしていて2カ月ぐらい経ったときに突如、「アフリカへ行こう!」と思ったのです。

――坊主頭になったときも、アフリカ行きを決意したときも、突然ひらめいて迷うことなく行動に移す。この自由な発想と行動力は、真似したいけれどなかなか真似できない。しかも、どうせ行くならじっくり現地を旅したいと、仕事を辞め、夫を日本に残しての一人旅だ。

 ジャンベの本場といえば西アフリカですが、滞在費用や安全面のことなどを総合的に判断した結果、比較的メジャーなケニアで活動するNGO団体に参加することに。しばらくNGOでボランティア活動をした後、タンザニア、ウガンダを旅しました。

――もともと食べることが大好きだという井上さん。中でもタンザニアの料理がとても気に入ったそうだ。

 ケニアとタンザニアの料理は基本的には同じはずなのに、どれを食べてもタンザニアの料理のほうがおいしいんです。タンザニア人も「タンザニアの料理はうまいだろ!」と自慢していたのが面白かったですね(笑)。料理自体はいたってシンプルなものばかりなのですが、作り方にこだわりがある。「もっと食べたい!」と思わせるものが多く、アフリカの他の国にも行きたいと思っていたのに、いつの間にかタンザニアでの滞在が長くなってしまいました。

――アフリカ大陸の東海岸に位置するタンザニアはインド洋に面しているため、インドやアラブ諸国からの移民も多い。それらの国々の人たちの料理を味わったりしたことも、井上さんの味覚を広げていったのかもしれない。ところで、アフリカへ渡航する動機となったジャンベはどうなったの?

 アフリカへ行くと決めたあたりで、ジャンベのことは忘れてしまいました。私って、やりたいことがコロコロ変わるんですよ(笑)。タンザニアでカルダモンライスに出合ってスパイスの虜に。現在もまだスパイスの可能性に魅せられていますが、今後のことは自分でもわかりません。もしかしたら全く違う分野に熱中しているかもしれませんよ。

――そうはいっても、アフリカを旅していなければスパイスにはたどり着いていない。「裸足でスパイス」という店は、井上さんがこれまでに体験したさまざまな行動と感動が骨格となっていることは間違いない。手さぐり状態で始めた移動販売の「裸足でスパイス」。次回は、お客さんをひきつけているちょっとした秘密を紹介します。

(構成:山下あつこ、撮影:街道健太)

【「裸足でスパイス」のホームページアドレス】
http://hadasidespice.jimdo.com/

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【いのうえ・ゆか】
1978年広島県生まれ。2013年11月から半年間、ケニア、タンザニア、ウガンダを旅したことをきっかけに、翌年から移動販売のスパイス屋さん「裸足でスパイス」を始める。吉祥寺の「ハモニカ横丁朝市」、高円寺の「座の市」など都内近郊で開かれている青空市に定期的に出店している。
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