※WEB連載原稿に加筆してまとめた単行本『あんずとないしょ話』が2017年5月22日に発売されます(発行:東海教育研究所、発売:東海大学出版部)。
子どもたちとのアートワークショップを数多く手がける版画家・蟹江杏さんが、子どもたちからこっそり聞いた「今」や「これから」を一枚の版画に仕立てる新連載です。前回は、東京・立川で老舗のすき焼きしゃぶしゃぶ専門店を経営する「じいじ」が作ってくれるオムライスが大好きなゆいちゃんとのないしょ話をご紹介。さて、どんな版画になったのでしょうか。ゆいちゃんじいじはオムライスをつくってくれます!
ケチャップでハートとか“ゆい”ってかいてくれるの。
それをくずすと、ゆい、ちょっとだけナミダでます。
版画:蟹江 杏
杏からゆいちゃんとないしょばなし。
小さな体、大きな声で、ごあいさつ。
パッツパツにいっぱい詰まった想像力。
私をワクワクしたお目々でジッと見つめて、「好き!」って言ってくれました。
今までされたどんな告白(残念ながら数少ないのですが)よりもピキッと心にささりました。
こんな子とお話すると、正しくいなきゃいけないと感じます。
正しいという定義は人それぞれだと誰かもいっていましたが、やっぱり正しく生きたいな、と思います。
私には具体的な神様はいないけど、ゆいちゃんが大人になって、悲しいことや辛いことがあったとき、持ち前の想像力でおじいちゃんのオムライスの味を思い出して、どんな事も乗り越えられる大人になってほしいな~、って一生懸命祈らずにはいられないのです。
写真:高尾 斉
杏さんが子どもたちからそっと聞き出すあんなこと、こんなこと。次回は、どんなアンズ・ワールドを描き出してくれるのでしょう。お楽しみに。【蟹江杏さんのホームページアドレス】
http://atelieranz.jp/