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にっぽん味噌蔵めぐり
実践料理研究家・みそ探訪家
岩木みさき
第7回 祖先とのつながりを感じる北の味噌蔵(服部醸造・北海道 )
 初めての北海道は青森から新幹線に乗り、青函トンネルを抜けて向かいました。

蔵上部の㊇は徳川家から受け継いだ商標

時代に合わせて開発した多彩な商品群

 日本で唯一、日本海と太平洋の海に面した道南・八雲の地で味噌造りをしている服部醸造は、昭和2年(1927年)の創業。祖先は旧尾張徳川藩(現:愛知県)の家臣で開拓のために北海道の地へ入り、明治末に味噌醤油の製造に着手しました。のちに徳川家所有の商標である㊇の印の使用が許されたそうなのですが、実はこれ、武家・源氏の守護神である向い鳩の姿を表し、現在の名古屋の市章でもあります。工場の外観の文字をよく見ると、確かに鳩の姿がありました。

 味噌の歴史をたどっていくと、仙台や信州、愛知など、味噌どころとして有名な地域は勇壮な戦国武将が治めていた場所と重なっていることがわかるのですが、これは戦の勝敗を左右する兵糧(食料)として味噌が重要視されていたから。もし叶うなら当時、情報が少ない中で「味噌は栄養価が高い食料だ」と気づく先見の明を持っていた、センスある武将たちに会いに行きたい! と思うのでした。

服部慶子さん(右)と筆者

 この日案内してくれたのは、現社長の服部慶子さん。㊇の印に加え、旧尾張徳川家の三つ葉葵の家紋が入った味噌プリンなど、時代の変化とニーズに合わせて商品開発を積極的に行っている話をしてくれました。試食で出してもらったお味噌汁は、じんわり身体に染み渡り、おいしかったことを今でも覚えています。(つづく)

◆◆服部醸造◆◆


〒049-3105 北海道二海郡八雲町東雲町27
TEL:0137-62-2108 (代)
https://maru-8.net/
 昭和2年、徳川御三家のひとつである尾張藩の旧臣が北海道開拓のために入植した八雲町で創業。服部醸造の先祖代々が尾張藩に仕えていたことが縁で、徳川家が所有していた商標を引き継いだ。幅広い商品開発の一方で地元産の原料にこだわる味噌造りも手がける。

◆岩木さんセレクトのイチオシ味噌とおススメレシピ◆


北海道味噌「舞」
 


【種類】米味噌
【味】麹歩合10割、塩分12.5パーセント、熟成期間6カ月
【色】黄色
創業80周年記念で造られた「舞」は、北海道産大豆と北海道産米を使用。尾張徳川家にも献上された、ふくよかな風味を生かした辛口の味噌です。北海道は味噌と鮭を合わせた「石狩鍋」や「ちゃんちゃん焼き」が有名なので、今回は鮭を使った、すぐに実践できる味噌レシピを紹介します。

おススメレシピ

「鮭の味噌バターホイル焼き」


【材料】(2人分)
鮭2切
酒小さじ1
キャベツ1/2サイズ1枚
しめじ60g
味噌小さじ2
バター10g×2個
バター5g×2個
【作り方】
1. キャベツは3cm角のざく切り、しめじは根元を落としてほぐす、鮭は余分な水気をペーパーでふき取り、酒をふる
2. 長さ30cmほどのアルミホイルを2枚用意し、それぞれにキャベツ・鮭・しめじの順で重ね、アルミホイルの口をしっかり閉じる
3. フライパンに具材を包んだホイルを並べたら、さらに上からふんわりアルミホイルを覆い強火にかける
4. ふつふつと音がしてきたら弱火にし、6~7分蒸し焼きにする
5. 仕上げに追いバターをのせる
【ポイント】
・下にキャベツを敷くこと。先にのせたバターが溶けることで、鮭が焦げずにホイル内を蒸せます
・味噌はのせるだけでも香りが広がり、完成したときにも見た目にみそ感が出せます
・最初に強火にすること。フライパンにホイルを覆い被せることでしっかり蒸せます

(写真提供:岩木みさき)

★岩木みさきさんが味噌との出会いや奥深い魅力について語るインタビュー「今こそ伝えたい、味噌の力」もぜひお読みください。

【実践料理研究家・岩木みさきのみそ探訪記】http://misotan.jp
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【いわき・みさき】
1988年神奈川県生まれ。10代のころに摂食障害や肌荒れに悩んだ経験から、食の大切さを実感して料理の道へ。病院栄養士として3年間勤務したのち、2012年に実践料理家として独立。その後、日本の伝統調味料である味噌に魅せられ、4年で日本各地60カ所以上の味噌蔵探訪を続け、その成果をWEBサイトやレシピ、イベントなどを通じて発信している。
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