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美しいくらし
フランスの小さな村を旅する 写真と文
木蓮
第4回 マリア像に見守られた巡礼路の出発点【ル・ピュイ・アン・ヴレ】


 1年の終わりを告げる冬の夕暮れ。友人たちと待ち合わせ、オーヴェルニュ地方最大の観光地であり、最大の巡礼地ル・ピュイ・アン・ヴレに向かいます。いつもの道、いつもの景色。だけど今日の私は、友人たちとの会話すら気もそぞろ。なぜなら、今朝はうっすらと雪が降り、雪景色が見られるのではないかと期待していたからです。フランス屈指の極寒の地でもあるオーヴェルニュの冬は厳しく、凍りやすい道路を運転するのは夫の役目。
 なだらかな坂を下っていくと、見慣れた景色が茜色に染まり、薄化粧をした美しい街が見えてきます。なんて壮大な景色なんだろう……。刻々と場所を変えていくオレンジ色の光を楽しみながら、太陽が沈むまでの時間を楽しむぜいたくな時間。遅い春を迎えた一面の花畑も美しいけれど、オーヴェルニュの大地は雪をまとって冬にも輝きます。

黒い聖母像

「GR65」の看板

 1998年にユネスコの世界遺産に登録された「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」であるル・ピュイの道は、フランス国内で4つある巡礼路の中でも屈指の人気を誇っています。ここル・ピュイ・アン・ヴレは巡礼路の出発点。巡礼者たちは、朝7時から黒い聖母像をまつるカテドラル(ノートルダム・ド・ピュイ)で始まるミサに参加し祝福を受け、正面の扉が開かれると同時に長い道のりに旅立ちます(季節によってミサの時間は少し変わります)。この神聖な雰囲気は、何度この街を訪れても深い感動を呼び起こし、ヨーロッパにおけるキリスト教の信仰の深さを感じさせます。
 街中だけでなく、道中でも見かける「GR65」の看板は巡礼路の道標であり、ホタテのマークは巡礼のシンボル。巡礼者たちはこの白と赤のラインを目印に、遠くスペイン、ガリシア州にある聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。

コルネイユ岩の上で街を見守る聖母マリア像

 ナポレオン3世がクリミア戦争の勝利を記念してこの街に贈った聖母マリア像も見どころの一つ。ロシアの213もの大砲から鋳造してできたマリア像は、火山起源のコルネイユ岩の上で街を見守っています。また、圧巻なのが高さ82メートルの奇岩の頂に建つサン・ミシェル・デギュイユ礼拝堂。こちらは10世紀半ば建立されましたが、初めて見たときは「どうやって造ったのだろう……」とあっけにとられたものです。頂上までは268段の階段! のぼるのはなかなか大変でしたが、教会の周りを一周できるようになっていて、街を一望できます。

 さて、ル・ピュイに来たらぜひ訪れてほしいのが土曜の朝に行われているマルシェ。地元名物のレンズ豆や新鮮なフロマージュを買うことができます。また、カテドラルに行く道すがら見ることのできるボビンレースの実演も外せません。木製のボビンを両手に2本ずつ、計4本持ち、クロスかツイストさせるだけで美しい柄のレースを器用に編んでいきます。街中にはボビンレースの学校と美術館もあり、レース好きな私は何度見ても飽きません。
 一度予約したのですが、行けずじまいになってしまったボビンレースの学校。いつかリベンジしたいな~。

★Parisから Le Puy-en-Velayへの行き方
PARIS Gare de Lyon駅からTGVでSaint-Étienne-Châteaucreux駅まで約2時間50分。特急列車に乗り換え約1時間30分。乗換時間などを考慮して合計約4時間30分。


★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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【もくれん】
フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュ地方の人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。いきなり2人のフランス人娘の母親になり悪戦苦闘だったが、生来の自由気ままな性格と、さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、「フランスの小さな村宣伝大使」を自負し、訪ねた村々をブログで紹介している。花にあふれる美しい村の魅力を伝えるブログは、日本でも多くのファンがいる。
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