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美しいくらし
フランスの小さな村を旅する 写真と文
木蓮
第2回 小さな小さな国境そばの村【アイノア】

まだ薄暗い朝のアイノア全景



 「本当に小さな村だから30分ね!」。この日、初めてバスク地方を訪れた私に向かって、タクシー運転手のおじさんが笑いながら言いました。
 「たった30分で回れるの?」
 「この道をどーんとまっすぐ歩いて端まで行ったら、戻ってくるだけさ」
 二人で大笑いしながら、そんな会話をしたことを今でも覚えているほど小さな村アイノア。


 フランスとスペインの両国にまたがるバスク地方は、リゾート感覚で楽しめる華やかな「海バスク」、キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路でありながらものんびりとした牧歌的な山間の小さな村が多い「山バスク」があり、パリから少し遠くても全く違う景色が楽しめることから、日本の方にも人気があります。

 「食のバスク」といわれるほどおいしい物にあふれ、その独特な文化から生まれた料理やお菓子は数知れず。干し鱈を使ったピルピル、有名なバイヨンヌの生ハムを使ったピペラードをはじめ、微炭酸ワインのチャコリやバスク特産のシードル(リンゴ酒)・サガルドア、私の大好きなオッソ・イラティー(羊のフロマージュ、)、チョコレートにガトーバスクなどなど、書いているだけでおなかがすいてしまうほどです。

ピペラード

レストラン「イチュリア(ITHURRIA)」


 アイノアはフランスバスク、スペインバスクの文化が行き交うピレネー山脈山あいの村。村でいちばん有名なミシュラン1つ星をとったレストラン「イチュリア(ITHURRIA)」から村の中心に向かって歩いていくと、教会の前に何やら大きな壁がある広場が見えてきます。こちらは、バスク地方の村に行けばどこでも見られる伝統球技バスク・ぺロタに欠かせないフロントン(競技場)。ペロタとはスペイン語で「丸いもの」を意味する言葉。羊毛を巻いて皮で覆った、野球のボールより少し小さめの球を壁に当てながら、スカッシュのように競うスポーツです。

 フロントンの裏手には、1996年に歴史的建造物に指定された聖母被昇天教会があります。この教会を訪れる際には、絶対に覚えておいてほしい秘密があります。
 教会に足を踏み入れたら、左側の壁にある壊れそうな機械に1ユーロを入れてみましょう。光が落ちて真っ暗になると、静かにパイプオルガンが流れ始め、ゆっくりと教会内部にブルーの光が差し込み始めます。教会の中に光が満ちあふれると、全容が見える仕組みになっているのです。知らないとつい見逃してしまうスポットですが必見です。
 教会の外に出たら、バスク地方独特の丸い円盤状のお墓を見るのも忘れずに。もともとこの地方は、キリスト教が伝わるまでは太陽崇拝をしていたため、東を向く丸いお墓はその名残だとか。

 村の外れからスペイン国境まで歩いて約20分のアイノア。
 村のホテルで1泊した翌朝、多くの巡礼者が通った道を歩いて村の外へ出てみると……。朝霧に包まれた美しい姿を見せ、静かな感動を味わわせてくれました。

観光地としてだけでない人々の暮らしが垣間見える山あいの村


★ParisからAinhoaへの行き方
Montparnasse駅からTGVでSaint-Jean-de-Luz-Ciboure駅まで約4時間約30分。Halte Routière(バス乗り場)から47番線のバスに乗りFrontonまで約45分。乗換時間などを考慮して合計約6時間10分。

★木蓮さんのブログ【フランス小さな村を旅してみよう!】
http://ameblo.jp/petit-village-france/

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【もくれん】
フランスの「おへそ」にあたるオーヴェルニュ地方の人口200人に満たない小さな村に在住する日本人女性。フランス人の夫との結婚を機に渡仏。いきなり2人のフランス人娘の母親になり悪戦苦闘だったが、生来の自由気ままな性格と、さまざまな地域に接しているオーヴェルニュの地の利を生かし、名もなき小さな村を訪ねる旅にどっぷりはまる。「パリだけではないフランスの美しさを伝えたい」と、「フランスの小さな村宣伝大使」を自負し、訪ねた村々をブログで紹介している。花にあふれる美しい村の魅力を伝えるブログは、日本でも多くのファンがいる。
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