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美しいくらし
フランスの一度は訪れたい村 トラベルライター
坂井彰代
第7回 村中まるごとトウガラシづくし「エスプレット」(下)

村の郵便局にもトウガラシが吊り下げられている

 村特産のトウガラシのことがもっと知りたくなって、生産と直売を行う「アトリエ・デュ・ピマン」を訪ねてみることにしました。
 「400年間、同じ方法でつくっているよ」とご主人が話すように、この地でトウガラシの栽培が始まったのは17世紀のこと。新大陸を発見したコロンブスに付き添っていたバスク人が、メキシコから持ち込んだのがきっかけといわれています。最初は薬用として用いられましたが、そのうち、肉やハムを保存するための香辛料として使われるようになり、品質も高められていきました。当地の気候が栽培にとても適していることがわかり、生産量も増えていったそうです。

 2000年には、食品の原産地と品質を管理するための認証制度AOP(EUの原産地保護呼称)に認定されます。この結果、バスクの特定地域でつくられ、検査に合格したものだけが「ピマン・デスプレット」を名乗れるようになりました。厳しい品質管理のもとで栽培され、すべて手摘みで収穫されるとあって、ご主人いわく「フランスで唯一の国産香辛料」とのこと。籠いっぱいに詰められたトウガラシは、つやつやとして鮮やかな赤色が特徴です。

トウガラシのペーストをカナッペに(アトリエ・デュ・ピマンにて)


 粉末になったものは「ピペラード」と呼ばれるバスクの鶏料理に欠かせないのはもちろん、魚のソテーやカルパッチョの上にさっと振っても美しく、料理の彩りにもひと役買っています。バニラアイスにほんの少し添えたら、味のアクセントになるでしょう。
 アトリエ・デュ・ピマンでは、商品の試食や料理のデモンストレーションも行っていて、その日はトウガラシペーストを使ったカナッペをいただきました。辛みがマイルドなので、辛いものが苦手な人でも安心して味わえそうです。

トウガラシをモチーフにしたピアス

トウガラシ入りのチョコレート

 村にはほかにも特産品を売る店が並び、塩とミックスしたものからジャムまで販売していました。食品だけではありません。トウガラシを象ったユニークなアクセサリーも売られています。
 村の入口近くには、サロン・デュ・ショコラに出展していたチョコレート屋さんもあります。トウガラシ入りチョコのほかに、やはりバスク名物であるサクランボジャムが入った商品も販売しています。いずれも、自然の甘みをいかした名品です。

 10月最終週には大きな祭りが行われるというエスプレット村。トウガラシファンが集結し、大変な盛り上がりを見せるのだとか。伝統的なバスクの衣装に身を包んだ楽隊も登場すると聞けば、また行きたい気持ちに駆られています。


【エスプレットの行き方】
パリのシャルル・ド・ゴール空港またはオルリー空港から飛行機で約1時間15分のビアリッツ・ペイ・バスク空港へ。そこから車で南へ約30分。


(写真:伊藤智郎)

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【さかい・あきよ】
徳島県生まれ。上智大学文学部卒業。オフィス・ギア主宰。「地球の歩き方」シリーズ(ダイヤモンド社)の『フランス』『パリ&近郊の町』などの取材・執筆・編集を初版時より担当。取材のため年に3~4回、渡仏している。著書に『パリ・カフェ・ストーリー』(東京書籍)、『パリ・メトロ散歩』(同)がある。
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