[内容]
妻の座を守る女、ダメンズを好きになった女、倫(みち)ならぬ恋におぼれる女、年下の男にすがる女……さまざまな愛の形を通して歌舞伎作品をひもとく一冊。本書で紹介した作品の原作者や初演年をまとめた一覧&人物相関図も掲載。
[目次]
第一話 東海道四谷怪談 優等生の誇りと誤算~長女・お岩の結婚/そばにいて愛してくれる人がいい~次女・お袖の結婚
第二話 怪談・牡丹燈籠 死んでもあなたを離さない~お露の幸せ/幽霊に魂を売った夫婦~お峰の幸せ/たとえ田舎の酌婦になろうとも~お国の幸せ
第三話 曽根崎心中 死ぬことは生きること~お初/ないまぜになったリアルとフィクション
第四話 仮名手本忠臣蔵 美しすぎる県知事夫人の涙~顔世御前/勘平さんしか見えない!~おかる
第五話 女殺油地獄 犯罪被害者の叫びが聞こえる~お吉
第六話 一谷嫩軍記「熊谷陣屋」 16年目に訪れた残酷すぎる再会~相模と藤の方
第七話 彦山権現誓助剱「毛谷村」 オスカルになれなかった女~お園
第八話 信州川中島合戦「輝虎配膳」 戦国時代を生き抜くスマートウーマンたち~越路・唐衣・お勝
第九話 新版歌祭文「野崎村」 野に咲く花の恋と意地~お光ちゃんの選択
第十話 心中天網島 女はどうしてダメ男にほれるのか?/“尽くす女”? “新しい女”?~おさん/自分で決めた道だから~小春の死とそれからのおさん
第十一話 妹背山婦女庭訓 全力で恋する女は美しい~お三輪と橘姫
◇コラム
「私って重い?」年上女性の一途すぎる愛/真景累ヶ淵「豊志賀の死」
「家はつぶしてください!」とおみのは言った/元禄忠臣蔵「大石最後の一日」
男をのみ込んでいく魔性の女/お国と五平
人生の転機に訪れた色恋の花火/綱模様燈籠菊桐「夕立」
◇本書で取り上げた歌舞伎作品一覧
[仲野マリ(なかの・まり)]
1958年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。歌舞伎・文楽をはじめ、ミュージカル、バレエなど年120本以上の舞台を観劇、歌舞伎俳優や宝塚トップ、舞踊家、演出家などのインタビューや劇評を書く。GINZA楽・学倶楽部での歌舞伎講座「女性の視点で読み直す歌舞伎」をはじめ、松竹シネマ歌舞伎の上映前解説など、歌舞伎を身近なエンタメとして楽しむためのビギナーズ向け講座を多数実施。歌舞伎に登場する女性にスポットを当てる独自の視点は、多くのファンに支持されている。日本劇作家協会会員。 |