明日の見えない不安―そんなことが言われ出したのはいつごろからだったろう。明治維新後の近代化と敗戦後の民主化、そして高度経済成長による産業構造の変化によって成り立ってきた私たちの社会は、ここへきて急激な変化に見舞われている。旧来の諸制度の疲労、共通の価値観や倫理の崩壊……。それらは長引く景気低迷のなかで、人々の不安を伴ってますます露わになってきた。日本という国も、私たち個人も、もはやこれまでの進路はたどれず、新たな道を手さぐりしながら進まねばならない時代にさしかかったのだ。
月刊誌『望星』は、そうした時代に少しでも「あらまほしき明日の社会や暮らしの姿」を提示しようと、多くの識者に意見を求め、毎号インタビュー記事を掲載してきた。読者が自分や世の中の「いま」と「明日」を考えるための視点を、あるいはヒントを獲得できるようにと願っての企画だったが、今回その一部を選んで収めたのが本書である。
いらない日本、いる日本―。これからの時代に本当に必要なものは何なのか、そのために何を捨てなければならないのかを、この表題や本書に登場する人々とともに、あらためて考えていただければ幸いである。
月刊『望星』編集長 岡村 隆
第1章 文明・環境
第2章 歴史・戦争
第3章 市民・政治
第4章 社会・制度
第5章 現代の犯罪
第6章 高齢社会
第7章 子ども・教育
第8章 新しい生き方
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